● マクロ改善とETF純流入が重なり、BTCは現物支えで反発。
● Fund Flow Ratio低水準で現物売りは限定的、下落は主に清算主導。
● 構造転換は未確認、持続的フローがなければリリーフラリーの可能性。
ビットコインは現在68,000ドル台を回復。60,000ドル再テスト懸念から一転し、70,000ドル目前まで反発した。ただし、この上昇を“本格的トレンド転換”と見るのは時期尚早だ。
今回の上昇は、現物需給の変化に加え、マクロ環境の改善が重なったことが背景にある。トランプ大統領は一般教書演説で「歴史的な経済回復」を強調し、住宅ローン金利の低下やコアインフレの鈍化をアピール。関税や最高裁を巡る不透明感の後退も意識され、株式市場とともに暗号資産にもリスク選好が戻った。
加えて、米国現物BTC ETFは2月24日に約2.6億ドルの純流入。5週連続・累計38億ドル超の流出に終止符が打たれた。マクロとフローが同時に改善したことは無視できない。
オンチェーン構造を見ると、Binanceから2,205BTCが純流出。直近30日平均の約3倍であり、短期的に流通供給は減少している。ただし重要なのは、Fund Flow Ratioが依然0.012と低水準にとどまっている点だ。これはBinanceへのBTC流入が限定的であり、積極的な現物売りが発生していないことを示す。
今回の価格下落局面でも、この比率は急騰していない。通常、大きなパニック売りでは取引所流入が急増する。しかし今回は、価格が66,000ドル台まで下落しても顕著なスパイクは見られなかった。つまり下落の主因は、現物の大量売却というより、デリバティブ市場での清算やレバレッジ整理による影響が大きい可能性が高い。
デリバ市場でも、Fundingはマイナス圏が優勢。過度なロングの積み上がりは見られない。レバレッジは過去16か月の高水準から徐々に低下しており、健全化は進んでいる。
しかし、構造的な強気転換が確認されたわけではない。短期保有者(STH)のP&Lは依然としてネットマイナス圏にあり、含み損状態での供給が市場に残っている。これは戻り局面で売り圧になりやすい。
CryptoQuant認定アナリストのPelinayPA氏 @PelinayPA は、現在の上昇はリリーフラリーの可能性があると指摘する。レバレッジ比率が低水準にとどまる局面では、価格が上方向に動くとショートスクイーズが発生しやすい。構造的需要の拡大というより、ポジション解消による踏み上げ上昇である可能性があるという見方だ。
リリーフラリーとは、強い下落後に安心感やショートカバーによって発生する一時的反発を指す。需給構造そのものが改善しなければ、再び売り圧に直面することもある。
結論として、現在は売り圧の急増が確認されない“安定化局面”であり、本格的な強気転換とはまだ言えない。ETF流入の継続、Premiumの定着、STH損益の回復が揃えば構造転換が視野に入る。価格よりも重要なのは、その背後にあるフローの質。今は反発局面ではあるが、検証フェーズが続いている。
オンチェーン指標の見方
①Bitcoin: Open Interest(全取引所):OI(建玉)は1月末の高水準から大きく低下し、レバレッジが整理された状態。価格下落と同時にOIが減少しており、清算主導の下落だった可能性が高い。直近はOIがやや回復しているが、過熱水準ではなく“再構築フェーズ”にある。
②Bitcoin: Fund Flow Ratio(Binance):Fund Flow Ratioは0.012付近の低水準で推移し、取引所への流入圧力は限定的。強い下落局面でも比率が急騰しておらず、現物のパニック売りは見られない。比率が低いまま価格が上昇すれば、ショートスクイーズ的反発が起きやすい構造。


