日本円建てステーブルコイン「JPYC」発行元のJPYC社と、免税電子化アプリ提供の日本免税社が、ステーブルコインを活用した免税還付モデルの構築を目的とする業務提携を3月3日に発表した。
この提携は、11月に予定されている日本の免税制度のリファンド(事後還付)方式移行に向け合意された。なお本円建てステーブルコインを消費税還付手段として活用する取り組みは、国内初の事例になるという。
リファンド方式は、免税店で購入した物品が出国時関税で持ち出しを確認されてから消費税が還付される制度。不正転売等を防ぐため移行される。ただし、免税の不正利用抑止が期待される一方で、小売店やインバウンド旅行者には新たな課題が浮上しているとのこと。
その課題とは、「店舗がカード番号・口座情報を取得・管理することによる個人情報漏洩リスクと現場負荷」や「カード解約・番号変更等による返金不能トラブル」、「着金まで数週間を要するケース」、「海外送金・カード返金手数料の累積によるコスト増大と制度の持続可能性への懸念」、「現金性の高い還付手段を通じたマネーロンダリング・不正利用リスクの増大」などがあるとのこと。リファンド方式により制度の枠組みが整っても還付手段の設計を誤れば別種の不正やトラブルが発生するという。
そこでJPYCを還付手段として活用することで、店舗での金融情報取得が無くなる。また税関承認データと連動し、ブロックチェーンを通じて国境を越えて旅行者のウォレットへ即時に送付することで、カード解約・番号変更の影響を受けずに、構造的に変金不能も防ぐとのこと。さらに普段使いのweb3ウォレットを指定するだけで還付金が受取可能なため、専用アプリ不要でかつ、行口座を持たないアンバンクト層を含む世界中の旅行者が対象になるとのことだ。
また発行・移転・償還の履歴がブロックチェーン上に記録されるJPYCにより、利用者単位・取引単位での追跡が可能となり、マネーロンダリング等の不正を制度設計の段階から構造的に抑止できるという。そして還付されたJPYCは、USDC等のグローバルな外貨建ステーブルコインへオンチェーン上で交換可能なため、帰国後も高額な為替手数料なく自国の経済圏で活用できるとのことだ。
また今回の取り組みは、2028年度中に義務化される電子渡航認証制度「日本版ESTA(JESTA)」との親和性があるという。
免税リファンドとJESTA情報の連携が実現すれば、店頭でのパスポートスキャンのみで本人確認が完結し、カード番号・口座情報の取得が不要なJPYC還付との設計上の親和性はさらに高まるとのことだ。
日本免税の創業者CEOの石井邦知氏は「2026年11月に始まるリファンド方式は、不正利用の抑止を制度の根幹に据えた、日本のインバウンド政策における大きな転換点です。私たちはこの変化を単なる制度対応にとどまらず、免税体験を根本から進化させる機会と捉えています。完全なトレーサビリティ・金融情報の非取得・不正の構造的な排除、これらを同時に実現できる手段として、日本円建てステーブルコインという確かな技術基盤を持つJPYC株式会社との提携は、私たちにとって最良の選択です。正当な旅行者に、確実で安心な還付を届けること。それが私たちの使命です。日本免税は、web3技術を活用した免税のDXを通じて、公共性の高い還付インフラを構築し、免税を日本の競争力と社会基盤へと高めてまいります」とコメントしている。
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