欧州議会が、デジタルユーロ(digital euro)に初めて大きな支持を2月10日に示した。オンラインとオフラインの双方で利用できる中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する欧州理事会の交渉方針を承認した。
この承認は重要だ。欧州中央銀行(ECB)がデジタルユーロを発行するには、欧州議会による立法上の承認が必要であり、2029年の開始目標は議員の同意に左右されるためである。
今回の議会の立場は、従来の議会提案がオフライン決済にのみ焦点を当てていたのに対し、欧州域内の通貨主権を守るという観点でECBにより近い方向へと転じたことを示している。
ECBは、経済のデジタル化が進む中で中央銀行マネーの役割を維持し、欧州域外の決済事業者への依存を減らすことを目的に、デジタルユーロの開発を進めてきた。
米欧関係の緊張や地政学リスクの高まりを背景に、EUの決済サービス分断や、ビザ(Visa)やマスターカード(Mastercard)といった米国系事業者への依存に対する懸念が強まっている。国内の決済ネットワークをそもそも持たない国もあるという。
一方で、このプロジェクトはドイツなどの国々で銀行業界のロビー団体から反発を受け、議会での議論は停滞した。草案は2年以上にわたり膠着しており、ECBの想定を大きく上回る長期化となっている。
欧州議会議員(MEP)らは2月10日、ECBの2025年年次報告に関する議会決議に対し2つの修正案を承認した。これらはデジタルユーロの導入を求め、決済サービスへの平等なアクセスを確保するとともに、オンライン・オフライン両方で使用可能な新たな公的通貨形態を提供するものである。
議員らはまた、デジタルユーロがEUの通貨主権を強化し、単一市場を深化させるとともに、小売決済における分断を抑えるうえで不可欠だと強調した。
現金のデジタル版を提唱する非営利団体ポジティブ・マネー・ヨーロッパ(Positive Money Europe)の政策責任者であるラウラ・カソナート(Laura Casonato)氏は、「今回の採決は、デジタルユーロの進展にとって大きな勝利だ」と述べた。
さらに同氏は、「中央銀行が裏付ける安全なデジタルの現金、すなわち包摂的な将来の現金形態を支持する明確な議会多数派がいま生まれた」と語った。
欧州議会はまた、ECBに対し暗号資産の監視を強化するよう求めた。デジタル決済への移行を、民間およびEU域外の事業者に委ねたままでは、利用者や加盟店にとって新たな排除を生みかねないと警告した。
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
EU Parliament backs digital euro, aligns with Council on online‑ and offline‑ready currency
(Reporting by Valentina Za, Editing by William Maclean)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters


