マレーシア当局は7月22日付で、Balaji Srinivasanが設立したNetwork Schoolに活動停止を命じました。対象はマレーシア・Forest Cityの拠点で、同校にはライセンス取消しと閉鎖命令が出ています。
マレーシア当局は、Network Schoolに対して7月22日付で活動停止を命じました。対象はマレーシア・Forest Cityにある拠点の活動で、同校にはライセンス取消しと閉鎖命令が出ています。
Network Schoolは、起業家・エンジニア・リモートワーカーなどが一定期間ともに滞在し、学びとネットワーキングを兼ねて共同生活を送る実験的なコミュニティです。単なる語学学校やスクールという名称のイメージとは異なり、Balaji Srinivasanが提唱する「ネットワークステート」構想、すなわちオンラインで結束したコミュニティがやがて物理的な拠点や自治的な仕組みを持つに至るという考え方を実地で試みる場という位置づけで知られています。
設立者のBalaji Srinivasanは、暗号資産業界ではCoinbaseの元CTO、ベンチャーキャピタルAndreessen Horowitzの元ジェネラルパートナーとして知られる人物です。著書『The Network State』で、国家に依存しないクラウドベースのコミュニティ形成を提唱してきたことでも広く知られています。
Forest Cityは、マレーシア・ジョホール州にある大規模な都市開発プロジェクトで、シンガポールに近接する立地に位置しています。中国の不動産大手が主導して開発され、スマートシティ・エコシティを標榜する一方、完成後の入居率の低さでも度々話題になってきた場所です。Network Schoolは、このForest Cityの一角を拠点として活動してきました。
今回の一件が暗号資産・Web3読者にとって注目に値するのは、単なる一施設の閉鎖ではなく、「ネットワークステート」という分散型コミュニティ構想が現実の国家規制とどこで摩擦を起こすかを示す具体例だからです。オンライン上で理念を共有する共同体が、物理的な拠点を持った瞬間に、その国のライセンス制度や許認可の枠組みに組み込まれ、当局の判断ひとつで活動を止められうるという構図が今回浮き彫りになりました。DAOやネットワークステート型のプロジェクトに関心を持つ読者にとっては、理念先行の構想が現地の法制度とどう折り合いをつけるかという、実務上のリスクを示す事例といえます。
Network School側が今回の命令にどう対応するか、そして他国で進む同種のネットワークステート型プロジェクトが規制当局との関係をどう構築していくかは、今後注視すべき点です。分散型コミュニティ構想を追いかける読者は、理念の是非だけでなく、拠点を置く国・地域の規制環境との相性という視点も合わせて続報を確認することをおすすめします。